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コラム

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契約書は無いほうがいい?

よく当事務所に契約書の作成を依頼なさったお客様がおっしゃいます。

曰く、「できるだけページ数を少なくして欲しい。

特に、ご本業の契約書の作成を依頼なさったお客様に多いセリフです。

確かに、分量が多い契約書は、相手方を警戒させてしまうこともあります。

その結果、取引の受注率が下がる可能性もあります。

経営者としては、取引の受注率は高いに越したことはありません。

私も経営者の端くれですから、その気持ちは十分に理解できるつもりです。



ただ、私は、経営者であると同時に、契約実務の専門家でもあります。

職務上の責任もありますので、おいそれとページ数の少ない契約書など、作るわけにはいきません。
(契約書とページ数の関係は、「契約書のページ数が少ない場合」をご覧下さい。)

では、いっそのこと、契約書など作らなくてもいいんじゃないですか?」というような意地の悪いことを言ってみたくもなります。

まあ、実際には、そのようなことは言いません。



実際のところ、契約書の内容と受注率との関係は、経営者にとっては、悩ましい問題です。

ただ、よくよく考えてみて欲しいのですが、逆の立場、つまり、契約書を渡される立場となった場合、「契約書すらまともに整備されていない企業と取引ができますか?

お客様の中には、「取引先に契約書を用意するように言われたから」という理由で、当事務所に契約書の作成をご依頼なさる方がいらっしゃいます。

つまり、企業の中には、「契約書がない=取引できない」と考えている企業もある、ということです。



ましてや、「契約書のページが多い」という理由で取引を断るような企業と、まともに取引を続けていくことができるでしょうか?

確かに、ページ数が少ない形だけの契約書のほうが、取引先には警戒されにくいことでしょう。
(もちろん、上記のように、ページ数が少ないことについて不信感を抱く取引先もあることでしょうが。)

ただ、それは、単に将来起こる危険性のあるトラブルを先送りしているだけに過ぎません。

そのようなトラブルを抱えた取引先を増やしていくことに、どれだけのメリットがあるのでしょうか?

また、ろくにページ数が少ない契約書を好む=ろくに契約内容を検討しようともしない企業が、本当に真剣にビジネスに取り組んでいると言えるでしょうか?

そのような企業と取引してよいのでしょうか?



このように考えると、あえてページ数の少ない契約書を用意する必要性は、ほとんどないことが分かると思います。

もちろん、取引の相手方の契約書の分量が多かった場合は、それはそれでやはり警戒はするべきです。

ただ、それは、相手方がそれだけビジネスについて真剣に考えている証拠でもあります。

ですから、個別の契約条項について、こちらも真剣に検討するべきであって、分量が多いこと自体が問題なわけではありません(むしろ歓迎するべきことです。)。

また、経営者としては、契約書の分量が取引の受注に影響を与えることがないように、マーケティングとブランディングにこそ力を注ぐべきです。

契約書の分量を減らす=取引の条件を譲歩することで受注をするなど、しょせんは小手先のテクニックに過ぎないのですから。

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 (平成19年11月28日)

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