本書は、主に次の3点に心がけて執筆しました。
@初学者から実務家まで幅広い方々にご覧いただくこと
Aできる限り実用的な内容とすること
Bビジネスの世界の実態をできるだけ反映すること
@初学者から実務家まで幅広い方々にご覧いただくこと
本書は、特に一般の企業の経営者の方、企業法務に係わる部署(法務部、総務部など)の会社員の方、実務家の中でも比較的経験が浅い方など、いわゆる初学者と呼ばれる方に向けて執筆いたしました。
当事務所は、契約書に関する業務を専門としているため、契約書に関する実務書を数多く取り揃えております。
これらの実務書には、いろいろな種類がありますが、どうしても、学術的なものや、極めて高度な専門知識を必要とするものが多い傾向があります。
それはそれで必要なものではありますが、現状のところ、初学者の方にとってふさわしい実務書(入門書)がないように思われます。
そこで、本書は、特に初学者を中心に、できるだけ幅広い方々を対象にご覧いただけるように配慮いたしました。
後述の目次をご覧いただきますとご理解いただけるかと思いますが、契約書についての基本的な情報が網羅されています。
また、多くの実務家にとって必要となる具体的な契約条項のサンプルも豊富に記載しています。
特に、これらのサンプルは、実際に当事務所で使用しているものですので、実務の際には参考になろうかと思われます。
Aできる限り実用的な内容とすること
本書は、学術的な記述を極力避け、実用的な内容としました。
契約書の書籍の中には、実務上、特に重要でもない学術的な事項が記載されているものがあります。
確かに、学術的な事項が重要となることがないわけではありませんが、実際のところは、学術的な事項は、さほど重要となることはありません。
本書では、実務上、本当に重要となる実用的な内容を記述しました。
例えば、本書では、実際に契約書を作成して、製本し、調印するまでの過程を解説して、契約を締結することができるまでサポートしています。
また、法律上、作成が義務づけられている契約書を巻末付録に記載しています。
Bビジネスの世界の実態をできるだけ反映すること
本書では、ビジネスの世界で実際に使われているひとつのツールとして、契約書を取扱っています。
契約書についての実務書というのは、ビジネスの世界の実態を反映していないことがあります。
実際のところは、契約書というのは、ビジネスで使われるツールのひとつであって、机上の空論を書面化したものではありません。
本書では、類書にはあまり見られない点として、ビジネス上の契約書の活用のしかたや、契約書を通じて相手企業を分析する方法などを記載しています。
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目次
序章 なぜ契約書が必要なのか?
1 法的リスクを回避できる
2 業務プロセスを効率化できる
3 受注率が向上する
[作成ポイントチェックシート@]
業務委託契約書の重要チェックポイント
第1章 「契約」とは何か?
4 「契約」と「契約書」の関係
5 契約の基本ルールは「契約自由の原則」
6 契約は当事者だけに適用される”法律”
7 事業者の契約には法律の保護があまりない
8 契約内容には当事者間の力関係が反映されやすい
9 契約は「申込み」と「承諾」によって成立する
10 いろいろな契約の種類
11 いろんな契約書の形式
[作成ポイントチェックシートA]
売買取引基本契約書の重要チェックポイント
第2章 契約書の基本ポイント
12 契約書のポイント@ 論理性と客観性が求められる
13 契約書のポイントA 書類として一体性を持たせる
14 契約書の構成
15 冒頭@ 「タイトル」―契約内容を反映させる
16 冒頭A 「前文」―契約に至った事情を正確にまとめる
17 総則@ 「目的」―当事者の権利と義務を簡潔に規定する
18 総則A 「定義」―あいまいな用語を定義付けておく
19 主要条件@ 契約の種類によって特色が異なる契約条件
20 主要条件A 主要条件は契約条件が有利か不利かの分かれ道
21 主要条件B 売買契約書の場合
22 主要条件C 労働(雇用)契約書の場合
23 主要条件D 業務委託契約書の場合
24 主要条件E 秘密保持契約書の場合
25 主要条件F 取引基本契約書の場合
26 一般条項@ 多くのビジネス契約書に共通して含まれる条項
27 一般条項A お金の支払いについての条項
(支払条件)[売買契約書の例]
28 一般条項B いつからいつまでかについての条項
(契約期間)[売買契約書の例]
29 一般条項C 契約の解除(解約)とその後の取扱いについての条項
(契約解除・期限の利益の喪失・相殺予約)[売買契約書の例]
30 一般条項D 損害が発生した場合についての条項
(損害賠償)[売買契約書の例]
31 一般条項E 個人情報や秘密情報についての条項
(秘密保持義務・個人情報の取扱い)[売買契約書の例]
32 一般条項F 裁判所の管轄についての条項
(合意管轄)[売買契約書の例]
33 一般条項G その他注意すべき条項
(第三者への委託など)[売買契約書の例]
34 後文 保有者と部数などを決める
35 署名欄 サインによって契約が成立する
[作成ポイントチェックシートB]
ソフトウェア開発委託契約書の重要チェックポイント
第3章 契約書作成の基本ステップ
36 ステップ@ 相手の意思を確認する
37 ステップA 契約書の製作にとりかかる
38 ステップB 相手を判断する(相手が個人の場合)
39 ステップC 相手を判断する(相手が法人などの場合)
40 ステップD 契約を結ぶ
41 ステップE 公正証書にする
42 ステップF 契約書と収入印紙
[作成ポイントチェックシートC]
秘密保持契約書の重要チェックポイント
第4章 間違えやすい契約用語と契約文章の書き方
43 契約文章の考え方
44 基本は5W1H
45 「および」・「ならびに」と「または」・「もしくは」
46 「場合」・「とき」
47 「以上」・「…を超える」と「以下」・「…未満」
48 「期間」・「期限」・「期日」
[作成ポイントチェックシートD]
フランチャイズ契約書の重要チェックポイント
第5章 契約書を巡るトラブル
49 契約書で不備が起こりやすい箇所
50 契約書がない場合のトラブルとその対処法
51 納入・検査のトラブル
52 独占禁止法違反
53 第三者からのクレーム
54 悪質業者の注意点
[作成ポイントチェックシートE]
リース契約書の重要チェックポイント
第6章 契約を巡る新たな動き
55 日本版SOX法の(金融商品取引法)の制定
56 個人情報保護法の施行
57 会社法の施行
58 民法改正の動き
59 貸金業法の改正
[作成ポイントチェックシートF]
労働者派遣契約書の重要チェックポイント
付録 業種別 作成義務がある契約書
付録1 建設業[建設工事請負契約書]<建設業法>
付録2 製造業など親事業者[製造委託契約書、業務委託契約書など]
<下請法(下請代金支払遅延等防止法)>
付録3 宅建業[建物賃貸契約書、不動産売買契約書]<宅建業法(宅地建物取引業法)>
付録4 貸金業[金銭消費貸借契約書]<貸金業法(貸金業の規制等に関する法律)>
付録5 探偵業[探偵業務委託契約書]<探偵業法(探偵業の適正化に関する法律)>
付録6 社会福祉事業[福祉サービス契約書など]<社会福祉法>
付録7 ゴルフ場会員権事業[ゴルフ場会員契約書など]
<会員契約適正化法(ゴルフ場等に係る会員権契約の適正化に関する法律)>
付録8 消費者向けの特定の事業[売買契約書など]<特定商取引法>
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